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②監督インタビュー

  • 浅井義之(監督)

浅井監督が最初に『Buddy Daddies』に携わることになったときは、どのような流れだったのでしょうか?

最初は「子育てもの」だと思ってお話をいただいたんですけど、脚本家チームとの顔合わせも兼ねてプロットを読ませていただいたときに初めて「バディもの」だと知ったんですよ(笑)。それをどういう世界観の「バディもの」にするのか考えていくなかで、子育て要素を含めるのであれば、ちょっとコメディ色が強い作品にできればいいかなと思いました。そこからキャラクターの性格や世界観などを、スタッフのみなさんと共有しながら組み立てていった感じでしたね。

聞いたところによると、監督は来栖一騎と諏訪 零について初期の頃から明確なイメージを持たれていたとか……?

この一騎と零というキャラクターだったら、どういう考えを持ち、どういう言動や行動に結びつくのかなと、ずっと考えていた時期はありましたね。そのくらい自分のなかで、一騎と零を面白いキャラクターだと感じていたんだと思います。なので、最初からイメージを固めていたというよりは、一騎と零のストーリー展開をなんとなく妄想しながら、それをシナリオとどう結びつけていくのか…ですね。彼らが殺し屋稼業をしつつ、子育てをするところを、どうすれば観る人たちに楽しんでもらえるのかなと考えていました。

設定などで、監督から具体的にご提案されたことはありますか?

一騎と零のビジュアルは、キャラクター原案のエナミカツミさんとやりとりしながら作り上げていきましたが、最初に自分がいたずら描きみたいなラフを描いたんです。相反する凸凹コンビみたいな感じになればいいかなと思って、その辺りを意識したイメージ画ですね。それを元に、エナミさんに原案を発注しました。どのくらい決定稿に反映されているのか、今となっては自分でもラフを覚えていませんけど(笑)。

「バディもの」を描くにあたって意識されたところは?

個人的には「バディもの」って、ふたりの相反する部分と相容れる部分のさじ加減が大事だと思っています。たとえば言葉では反発し合っていても、ちょっとした仕草のなかで息が合っているところをうまく見せられればいいかなと。また今回の『Buddy Daddies』は、(海坂)ミリを含めた“家族ごっこ”をしていくなかで、一騎と零というコンビがどういう風に立ち位置を変えていくのか、その先に焦点を置いている作品でもあります。一騎と零のコンビが、ミリと出会ってどう成長していくのか。そこを大事にしつつ、ふたりを描いていったところはありますね。

ハードボイルドとホームコメディという対照的な要素を持つ作品なので、バランス的な難しさもあったのでは?

そこはすごく悩みました。カッコいい殺し屋とはいえ、犯罪者には変わりないですから。そんな彼らが偶然とはいえ子供を育てていくという生活を、この世界観でどう扱っていくのかは、最初のほうで苦心しましたね。生死に関わる仕事と、ミリに振り回されるドタバタした生活のバランスは、その話数ごとに悩みながら決めていった感じです。言ってしまえば何でもアリな世界観ですけど、どこかで“生と死”というものを意識しつつ、人の死をあまり軽んじないようにしようと思いました。そうしないと子供を育てていくことへの説得力がなくなるので、自分のなかで一線を引いていたところはありますね。

そうした一連の作業のなかで、個人的にこだわった点はありますか?

アニメーションを作るうえで、自分は基本的にキャラクターの表情を大事にしているつもりです。今回で言えば、特に零は明確なオンとオフの状態があって、オンのときは殺し屋だけど、オフのときは家でだらけている引きこもりなので、そこでの表情や仕草の違いは大事にしていました。一騎もミリのことを憎からず愛しているところがあり、そうした繊細な表情をどういう風に表現していこうかなと。そこは絵コンテを描いている最中から気をつけていましたね。家族の真似事をしていくなかで、一騎と零の表情がどう変化していくのか。その辺の心理描写は、自分でも楽しみながら作っていたところがあります。

その一騎と零について、どんなところに魅力や面白さを感じますか?

最初は単なる同居人だった殺し屋コンビが、子供が加わることによって、お母さんとお父さんのような役割を振られていくわけですが、そこからストーリーが進むに従って、コンビ以上の関係性になっていくのが彼らの面白さかなと思います。作品自体をコメディ要素のあるものにしたかったので、零と一騎は結構わかりやすい陰と陽のキャラクターにしましたけど、実は陽キャラの闇が深かったり、陰キャラもいろいろ抱えていたりと、結局どちらもアウトロー的な人間なので、そんなふたりのガラの悪さや罵り合いにもコンビとしての魅力を出せたらなと。自分は案外そういうキャラクターが好きなので、観ている人たちに「夫婦か、お前ら!?」とツッコまれるような感じになったらいいなと思っています。

一騎役の豊永利行さんと零役の内山昂輝さんはいずれもハマリ役ですが、キャストの芝居によってキャラクター像が膨らむことはありましたか?

それはもちろんあります。キャスティングが決まり、アフレコで第一声を聴いたときは「一騎ってこういう人だったんだ」とか「零ってこういう男だったんだ」と感じたし、自分のなかで改めてキャラクターが構築されていきましたからね。こういう表情をさせたら、こう喋ってくれるだろうなと思いながらアニメーションの素材を作っていくので、その意味ではキャストさんたちの力は大きいですし、やっぱりいろいろな方がキャラクターを成長させてくれるんだなと実感しました。

物語の鍵を握るミリについては、どのように作られていったのでしょうか?

引っ込み思案な女の子にするのか活発な女の子にするのか、 ビジュアル面も含めて試行錯誤しましたね。あのふたりに育てられるなら元気な女の子がいいかなと思いましたが、エナミさんのキャラクター原案が上がってきたところで、キャラクターとして動かす方向性が見えてきました。それだけ、エナミさんのデザインの力がすごかったんだと思います。でも、ミリは決定稿までエナミさんに何度もリトライしてもらったので、一番時間がかかりましたね。「4歳の女の子」というのは決まっていたんですけど、髪型や目つきなどはいろんなパターンを試し、本当に時間をかけて作り上げていった感じでした。

では、ミリを演じる木野日菜さんの芝居については?

ミリに関しては、アニメによく出てくるような子供の喋り方ではなく、もう少し生っぽいお芝居を木野さんにお願いしています。オーディションで何パターンかやっていただいたとき、最終的に木野さんには子供の声を作らず、素の声でセリフを読んでみてくださいとお願いしたんです。それがなんとなくミリのイメージに一番近かったんですよね。そのまま本編で使っているわけではないのですが、殺し屋の男ふたりをパパと信じ込んで疑わない純粋無垢なキャラクターを演じるには、そのくらいの表現力がないと説得力が出せないので、そういう意味では本当に木野さんに助けられました。

監督が思う本作『Buddy Daddies』のイチオシポイントをお聞かせください。

監督としては余すところなく全部観ていただきたいのですが、シンプルに一騎と零というキャラクターに注目してほしいですね。彼らのちょっとした行動や言動を観ていただければ、後々どういう展開になっても、愛していただけるキャラクターになると思っていますので。子供を育てるには向いていない男ふたりの姿を面白おかしく感じていただけたら、監督としては嬉しいところです。

最後に、本作に期待する方々に向けてのメッセージをお願いします。

ミリはこの先ますますかわいくなっていきます。ストーリーが進むにつれて、一騎と零とミリの3人で行動するお話が多くなりますが、ミリにもちょっと謎めいたところがあるので、今後どういう風に一騎と零を振り回していくのかを見守っていただきたいですね。唯一のヒロインであるミリがかわいさを発揮していくところを楽しんでいただければいいなと思います。