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⑨佐古宗一郎さんインタビュー

  • 佐古宗一郎

『Buddy Daddies』はエナミカツミさんがキャラクター原案を手がけていますが、アニメーション用に改めてデザインするにあたり、特に意識されたポイントはどこですか?

イラストレーターとして活躍されているエナミさんの絵柄は知っていたので、そのシュッとしたスタイリッシュなカッコよさやかわいらしさを、きちんと出していきたいなという思いはありました。それに加えて本編はコメディ色が強いので、そのカッコよさとかわいさを維持しつつ、コメディアニメなりの崩しや遊びが可能な限りできるようにしたいなと。表情ができるだけ硬くならないようにと考えましたね。もちろんアクションシーンを想定して、動きやすそうなデザインというのも意識しました。

来栖一騎と諏訪 零のバディ感など、見た目のバランス的に意識されたところは?

一騎と零が並んだときの“対比”は浅井監督からの指示もありましたが、自分でもふたりの凸凹感を出したいなと思いました。性格も違いますし、ちょっとガタイのいい一騎と、パッと見は姿勢が悪くてヒョロっとした零の、見た目的なギャップを表現したかったです。そこに(海坂)ミリが加わるわけですが、4歳の子供の頭身をリアルに意識すると、どうしても顔が大きくなります。でも、抱っこしたり手を繋いだりするシーンでそのまま一騎たちとあわせると、ミリがめちゃくちゃ顔の大きい人になってしまう(笑)。そうならないように、ミリの身長とか頭身のバランス調整は各話ごとに必要でした。

その他に、浅井監督からの具体的な要望などはありましたか?

表情付けですね。零はほとんど表情を変えませんけど、ミリは天真爛漫でコロコロと変わり、世話を焼く一騎もリアクションが結構派手なので、そこの振り幅を広めに作ることは監督から言われていました。結果的に本編では、設定からさらに膨らませて、いろいろな表情をさせていましたね。特にミリに関しては基本的に、もうかわいくなっていればいいなと。じっとしていられない子供がバタバタしていて大変…というところまで含めて、最後にはその表情で救われるというか「かわいいから許す」みたいなところを狙っていきたいなと思いました。

そうした作業のなかで、佐古さんが個人的にこだわられた点などありましたらお聞かせください。

ミリは当然「かわいく描かなきゃ」という使命感がありましたけど、バディのふたりは、カッコいいところと普段の全然ダメなところのギャップですね。仕事モードと日常モードの描き分けは、かなり意識しているつもりです。 特に零は、そのギャップがちょっと特殊なんですよ。普段は猫背気味なので、一騎と並ぶと身長差が出てくるんですけど、仕事中はシャキッとしているから背筋が真っ直ぐに伸びている。そのくらいパッと見の印象や雰囲気が変わってしまうので、同じ人物だけど別の人物を描いているような、そんな感覚で作業しています。後半では日常モードで髪を下ろしているけど、気持ちには少し仕事モードが入るシーンもあって、そこは彼の心情を意識しながら、細かいギャップを描き分けたりしていました。

アクションシーンも多い作品ですが、キャラクターの動きという点ではいかがですか?

アクションシーンはどの話数でも見せ場になるので、もちろんカッコよさにこだわっていましたが、意外と日常シーンも力を入れていました。特にミリは止めパク、止まった絵で口だけパクパクしている作画が少ないんですよ。常に体が動いているというか身体全体でセリフを言っているシーンが多く、それだけでも作画カロリーが高くて大変でした。いわゆるお人形さん的なかわいさではなく、はしゃいで自由に動き回っているけど、かわいいから許しちゃう…という表現を優先させた結果ですね。そう考えると、手間を一番かけられているのはミリかもしれません(笑)。

放送済みのエピソードで、印象に残っているシーンはどこですか?

第3話ですね。あまり表情を出さない零だけど、ここでは初めて「パパと子供」という立場を意識して、それまで見せてこなかった表情や心の揺らぎが出ているので、自分としても描いていて面白かったです。零は心を閉ざしていたわけじゃないけど、これ以降は段々とミリを家族として受け入れるようになっていて、そうした変化を感じたシーンとしても思い入れがあります。作品のメインである「バディの子育て」というのも、ここから本格スタートしたように感じますね。

『Buddy Daddies』のキャラクターの魅力は、どんなところにあると思われますか?

一騎も零もわりと重めな背景を背負っていたりするんですけど、彼らが子育てをしていくなかで、ミリに対する心境や互いの向き合い方がちょっとずつ変わっていく。そうやって成長することによって、キャラクターの印象も序盤から変化していき、そこがどんどん魅力的になっている気がします。話数を重ねることで見えてくる面白さがあるというか。後半にいくに従って、心情の変化や成長みたいなものをキャラ設定にはない表情でどう表現するかという部分も、個人的には楽しんで描いていたりします。

一騎と零、それぞれについてはいかがですか?

零は単純にアクションを描いていて楽しいです。表情以外にも身体の動きで表現できるものがいっぱいあるので。終盤では零自身のドラマも重要な要素になりますが、そこで彼のカッコよさを魅力的に描けたらなと思いました。 一騎は基本的には前向きなキャラクターだと思いますが、ちょっと飄々としていて、世話焼きだけど甘いわけじゃないところがいいですね。単にリアクションが大きいだけのキャラではなく、背景に少し暗い部分というか寂しい感じが出ているところが魅力なのかなと。そんな繊細さも表情に描き出せたらなと思っています。

では、個人的にお気に入りのキャラクターはいますか?

サブキャラも含めて、自分が元からデザインさせてもらっているキャラクターもいるんですけど、殺し屋稼業と関わってくる悪い顔のおじさんたちです(笑)。結構楽しみながらデザインしていました。僕はエナミさんの渋いキャラクターもすごく好きなので、その感じを作品に組み込んで表現したいという気持ちもあって……。主人公たちがドタバタしているところに、シリアスなおっさんたちを詰め込んでいくとどうなるだろうなと思いながら描いていましたね。凶悪なキャラクターも出てきますけど、彼らがコメディテイストもある作品のなかでどう表現されていくのか、いい引き締め役になっているかなと思います。そういう意味では、キャラクターにも温度差がある不思議な作品だなと改めて感じました。

佐古さんが思う本作『Buddy Daddies』のイチオシポイントをお聞かせください。

エナミさんのキャラクターの魅力もありますが、僕はアニメーションの絵描きとして、色彩設計や美術の仕事の素晴らしさも挙げておきたいです。色彩さんはさまざまな色合いを作り出し、美術さんも背景をすごくオシャレなテイストで表現して、作品全体の魅力を押し上げてくれているなと感じます。細かいところですが、一騎のご飯が美味しそうなのも、そうしたスタッフ陣の頑張りがあってこそだと思います。

最後に、本作に期待する方々に向けてのメッセージをお願いします。

実際に育児をやっている方も、やっていない方も観ているかとは思いますが、その人ごとに共感できるポイントは違うかもしれません。なので、育児する側の立場だったらこのアニメがどう見えるのかを想像しながら観返してみたりと、そういう楽しみ方もできる作品じゃないかなと思います。緩急あるストーリーで、最終的にはどういう終わり方をするのかっていうところも楽しみにしつつ、最後まで観ていただければと思います。