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⑬北川勝利さんインタビュー

  • 北川勝利

今回『Buddy Daddies』の音楽を手がけるにあたり、最初はどういった経緯がありましたか?

殺し屋たちのお話で、音楽はホーンセクションがいっぱい入ったジャズっぽい感じにしたいから僕を呼んだと言われたので「わかりました」と(笑)。最初はそんな感じでしたね。とりあえずメインテーマの「Buddy Daddies Theme」は、カーチェイスとかアクションシーン的なものに合うように、疾走感のあるカッコいいジャズをイメージしました。

劇伴のオーダーはどのような感じで?

音響監督から音楽の発注メニューをいただいて、スタッフの方々と打ち合わせをしたんですけど、楽曲リストがもう何十曲もあって、めちゃくちゃ丁寧な説明書みたいな感じでした。だから、こちらとしてはそのリストを踏まえて、ひたすら作っていくというか。作品をイメージしたものだけでなく、携帯の着信音やTVゲームの曲、運動会の曲とかもありました。

第9話の、(海坂)ミリの保育園で行われる運動会用の曲ですね。

入場曲から始まり、綱引きの曲とか、かけっこの曲とか、その回だけで6曲ほど作りました。しかも全部運動会限定の曲だから、その回でしか流れない(笑)。打ち合わせのときはイメージしやすいなと思ったんですけど、全体の曲数を考えると、ちょっと待てよと。これはすごく果てしない作業になりそうだなと、最初は途方に暮れたんですけど、毎日マラソンのようにコツコツと思いつくものから作っていった感じでした。

メインテーマについて、個人的にこだわられた点などはありますか?

メインテーマはいつも流れる大事な曲なので、カッコいいジャズでと言われたんですけど、ジャズといっても幅広いので、自分が好きなジャズとして作るなら…と、落としどころを見つけるまで結構難しかったですね。わかりやすい刑事ドラマっぽい感じではなく、もっとおしゃれにカッコよく…と、おしゃれ重視で考えてみても難しくて。最終的に自分のなかで「これだ!」って決まるまでは、ちょっとみなさんをお待たせしちゃいました。メインテーマの曲が決まったら、そのメロディでちょっとコミカルな感じとか、悲しげなピアノだけの演奏とか、バージョン違いの曲をいろいろと広げていきました。

では、作品の要素や設定などを意識して作られた曲は?

ミリのお母さんの歌ですね。悲しい曲だけど、作品的に大事なポイントとなる曲なので、決まるまで何度かスタッフのみなさんとやりとりをさせていただいきました。これもアレンジ違いなど、いくつかのバージョンがありますね。作中でミリが口ずさんでいますけど、あれはサビではなく、イントロのハミングしているところなんですよ。TVで放送を観るまで知らなかったので「歌うの、そこなんだ!?」って思いました(笑)。

今回制作された楽曲のなかで、お気に入りを挙げていただくとしたら…?

サブメインくらいで使われている「Mission Complete ~任務完了のテーマ」ですね。バンド+ホーンセクションの編成にストリングスも入っていて、ちょっとおしゃれで楽しい感じ。最初はこれをメイン曲に考えていたんですけど、もっとスリリングなイメージということで現状のメイン曲になりました。でも、これはこれで気に入っています。あとは「Battle of Spanish Joint」です。

放送開始前のPVなどでも使用されている曲ですね。

最初に思いついたはもっと飄々とした感じでしたけど、後半へ行くにしたがってリズムが変わり、スキャットもいい感じに入り、急にロックになったりもして、そういう点も含めて気に入っています。とにかく全体的に強く作ってほしいし、演奏や雰囲気も薄くしないように言われていたので、むしろ怒られるくらい攻めてみようかなと思って、どんどん濃い感じでやりました(笑)。
あとは、フリージャスみたいな「作戦開始」。この曲のレコーディングはほとんど即興で、譜面もコードが少しと速さくらいしか書かれていなくて、もう「せーのっ」で演奏しました。よく知っているメンバーとのレコーディングなのでやれましたけど、お互いに何を弾くかわからない感じが、危機感のあるシーンに思った以上にピッタリはまったなと。結果的に、めちゃくちゃカッコいい曲になりました。

スキャットやコーラスなど、ボーカルが入った曲も印象的でした。

可愛いコーラスが入っている曲だと、ちょっとムーディな「Watermelon Woman」とか。第1話に出てくる女の子たちのお店のシーンで流れていて、まぁ使うならそこだよねと(笑)。コーラスもそういうイメージで作りました。お色気を感じさせるけど下品にしないでくださいと言われて、個人的に好きなラテン系の曲をちょっといじった感じにしています。
あと、自分もコーラスをやっていて、ちょっといいなと思っているのが「陽気なトゥッティー」です。これもラテンな感じで、クイーカという太鼓を使っていて…間奏に入っている「ウホッウホッホ」みたいな音ですね。それを入れたくて、メンバーにお願いしてやってもらいました。コーラスやスキャットが入って、こういうパーカッションを活かした軽いラテン系の曲はわりと好きです。

リストを拝見すると、ミリのシーン用の曲もありますね。

「フラニー!ルドルフ!フランチェスコ!」ですね。ミリがTVで観ている子供番組のテーマ曲なんですけど、具体的にどういう絵面の番組なのかわからなかったので、自分のなかで「3体のキャラクターが出てくる10分くらいの人形劇」と設定して、そのオープニング曲として歌詞も含めて作りました。キャラクターの名前もフラニー、ルドルフ、フランチェスコに決めて、ちっちゃいやつと細いやつとでっかいやつのパペットみたいな(笑)。彼らが大冒険する番組と、勝手にそこまで設定を考えていました。

今回の劇伴制作を振り返ってみて、どのようなことが印象に残っていますか?

僕は普段それほど劇伴をやっているわけじゃないんですけど、今回は「北川さんらしさを出して作ってほしい」みたいなことを言われて、やらせてもらった感じだったんです。だから、自分の得意技をどこまでも入れてやれという気持ちで作っていたところはありますね。とにかく曲数が多いので、毎日規則正しくコツコツと作りました。そのやり方は初めてだったので、自分でもこういうことができるというのは新たな発見でした。
あと、僕は普段からいろいろな人と組んでやっているので、今回のレコーディングでは、今までお世話になった人たちに大集結してもらい一緒にやれたことが嬉しかったですね。たとえば、ホーンセクションでは村田陽一さん、パーカッションでは三沢またろうさん、ストリングスでは金原千恵子さんとか。そういう先輩の方々の胸を久しぶりに借りて、ちょっとした緊張もありつつやれたことが新鮮だったし、懐かしさもあってよかったなと思います。この顔ぶれで集まるなんて、すごくいい企画じゃんって思ったんですけど、レコーディングは2日間でやったので、あまりそれを味わう暇もなく一気に駆け抜けた感じで大変でしたね。でも楽しかったです。

北川さんが思う本作『Buddy Daddies』のイチオシポイントをお聞かせください。

僕はただ「音楽です」としか言えません(笑)。少し前に円盤にまとめるためのマスタリングという作業をやりまして、環境が整ったスタジオで久しぶりに一気に聴いて、こんなにたくさんいい曲を作ったんだなと実感したんです。なので、やっぱり音楽がポイントだと思います。

最後に、本作を楽しむ視聴者に向けてのメッセージをお願いします。

『Buddy Daddies』という作品の設定をいただいて僕なりに作った音楽を、ぜひチェックしてみてください。この世界観のどこに流れていたのか、すぐにわからなかったとしても、聴いていただければ作品をイメージしながら楽しんでもらえるかなと思います。